2025年07月06日 手指変形と硬直母指について
手指変形と硬直母指について
手指の変形は、様々な原因によって起こる疾患や症状の一つで、生活の質に大きな影響を与えることがあります。手指は日常生活で非常に重要な役割を担っており、手指の機能障害は動作に支障をきたし、仕事や趣味などにも影響を与えることが少なくありません。手指の変形は、症状が進行すると回復が難しくなるため、早期の診断と適切な治療が求められます。今回は手指変形のなかで多く見られる母指CM関節症、へバーデン結節・ブシャール結節についてご紹介します。
手指変形の種類
手指の変形にはさまざまな種類があります。代表的なものとしては以下のようなものが挙げられます。
- 変形性関節症(OA)
変形性関節症は、手指の関節がすり減ることで生じる症状です。関節が痛んだり、腫れたり、可動域が制限されることが多く、特に40代以降に多く見られます。リウマチ性関節炎(RA)
- 自己免疫疾患の一つで、手指の関節に炎症が起こり、徐々に変形が進行する疾患です。両側の手指に影響を与え、腫れや痛みが伴います。
- バネ指(狭窄性腱鞘炎)
指を曲げ伸ばしする際に引っかかり感が生じ、指が伸ばせなくなる疾患です。
初期症状
手指の変形の初期症状は、比較的軽微であるため放置しがちですが、早期に気づいて対処することが重要です。以下は一般的な初期症状です。
- 手指を曲げる際にわずかな違和感がある(こわばり)
- 手を使う際に少しずつ疲れやすくなる
- 手指の腫れや赤みが見られることがある
- 物を握るときに力が入りづらく、持続的な痛みが生じる
これらの症状を放置していると、関節の動きが悪化し手指の可動域が制限されてしまいます。
治療方法
手指の変形の治療は、症状の進行度合いや個々の患者さんの状態に応じて異なります。治療方法には以下のような選択肢があります。
保存療法
初期の段階では、保存療法が有効です。これには、薬物療法や物理療法、生活習慣の改善などが含まれます。具体的には以下の方法があります。
- 消炎鎮痛剤の使用:関節の炎症や痛みを抑えるために薬を服用することがあります。
- 装具やサポーターの使用:関節に負担をかけないようにするため、手指に専用のサポーターや装具を使用することが推奨されます。
- リハビリテーション:マッサージやストレッチ、セルフエクササイズや動作指導、装具の作成を行います。
- 物理療法:レーザー治療や超音波治療を行い、症状の緩和や痛みをやわらげます。
- エクエル(エクオール)の使用:女性ホルモンであるエストロゲンと似た働きをし、更年期症状の緩和や骨粗鬆症の予防に役立ちます。ホルモンバランスの乱れが関与する場合は、服用することで関節痛の緩和や症状の進行抑制に役立ちます。
- 手術療法
保存療法で効果が見られない場合や、症状が進行した場合には手術を検討することがあります。手術療法には、関節を切開して変形を矯正する方法や、関節を人工関節に置き換える手術が含まれます。手術後はリハビリテーションが重要となり、機能回復に時間を要する場合があります。
硬直母指(強剛母指、小児ばね指)とは
主に1〜2才にみられ、親指の曲げ伸ばしができない、または曲げ伸ばしの際にし引っかかるような症状を特徴とします。指の付け根(掌側)にしこりが触れることが多いです。
治療方法
硬直母指の治療は、半数以上が自然治癒のため軽症の場合は保存療法となります。症状に応じてリハビリや装具固定が必要となりますが、6〜7才までに改善しなければ手術となります。
- 保存療法
- リハビリテーション:親指の可動域を保つためのストレッチや親指を固定する装具の作成を行います。
- 手術療法
引っかかりが強く自然治癒しない場合は、腱鞘を切開する腱鞘切開術を行うことがあります。
まとめ
手指の変形や硬直母指は、早期に気づいて適切な治療を受けることが重要です。初期症状に気づいたら、無理せず早めに専門医を受診し、日常生活に支障をきたす前に対処しましょう。治療方法は、個々の状態に合わせて選択されるため、医師とよく相談しながら最適な治療を進めることが大切です。
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